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【あおもりびと発見!】「願いかなう町」を体現する七戸ドラキュラdeまちおこし

七戸町で「ドラキュラ」をキーワードにヒト・モノ・コトをつなげ、精力的に町おこしを行っている「七戸ドラキュラdeまちおこし実行委員会」の皆さんにお話を伺いました。

七戸ドラキュラdeまちおこし実行委員のみなさん。二宮礼子代表(写真最右)、哘清悦副代表(写真最左)

 

ドラキュラでまちおこし!?

「ドラキュラ」といえば、どんなイメージを抱くでしょうか。吸血鬼、不老不死の怪物…など、ミステリアスなイメージが強いかと思います。

 

「七戸町はニンニクとトマトの生産が盛んで、国内最大級のヒナコウモリの繁殖地としても知られています。それに、ドラキュラと言えばお城。中世に築城された七戸城跡を、吸血鬼ドラキュラに登場するドラキュラ城と結びつけました。」と語るのは実行委員会代表の二宮礼子さん。七戸町にある資源を「ドラキュラ」に結び付け、異業種間交流や地域おこしに取り組んでいます。

七戸産ニンニクを使ったリース

 

七戸町産トマトジュース

 

天間舘神社境内にある蝙蝠小舎。ヒナコウモリ(絶滅危惧種)の定期観察会が行われ、人と野生動物がうまく共生できたモデルケースとして注目されています。

 

「七戸ドラキュラdeまちおこし」のアイディアが産声を上げたのは、遡ること7年前。新幹線駅開業後のまちづくりについて協議するため、幅広い年齢層の町民を集めて開催された「七戸の明日を考えるまちづくり100人会議」で提案されたのが始まりでした。

 

「七戸町の資源を「ドラキュラ」に結び付けるというアイディアはとても良いものなのですが、それを一時的な盛り上がりで終わらせることなく長期的に使っていくため、町内の有志で実行委員会を組織しました」と二宮さんは言います。

 

2013年にはハロウィンの時期に「ドラキュラフェスタ」を開催し、仮装をしてパフォーマンスやパレード等を行いました。ドラキュラを連想させる料理「ドラキュランチ」の開発など、多岐にわたって町おこしを展開してきました。

2014年ドラキュラフェスタのポスター

2015年ドラキュラフェスタの一場面。幅広い年齢層の住民が仮装しており、町全体での盛り上がりが伝わります。

 

ドラキュラフェスタは2015年の第3回まで開催され、町内外から注目を集めました。しかし、マンパワーや財源が限られているという課題を克服するため、大きな単発のイベントから年間を通して事業を実施する方向へシフトしてきました。これまで関わりのなかった人たちが出会い、意見交換をする場「ドラキュラカフェ」の開催もその一つです。

 

小さな町の異業種間連携

「この活動の一番の成果はドラキュラのキーワードでこれまで関わりのなかった人たちが繋がるようになったこと。」

そう語るのは、実行委員であるカフェ「グリーンブリーズ」の店長、工藤貴美子さん。

 

工藤さんはポルトガルの調味料「マッサ」にかねてから着目していました。「マッサ」とは、塩漬けパプリカをペースト状にした調味料のことであり、ポルトガルでは味噌や醤油のようにどこの家庭にも置いてあるものです。青森県産野菜を手軽に多くの方に食べてもらうため、七戸町の新たな名産品にできないかと考えていましたが、工藤さん一人の力では生産が難しいものでした。

ドラキュラのネットワークを活用して開発されたポルトガルの伝統調味料「パプティーMassa(マッサ)。

 

それをドラキュラカフェで提案したところ、町内の障害者通所施設が手を挙げてくれたのです。障害者通所施設「おおばこ作業所」には様々な障害を抱えた方が通い、電子部品の加工や菓子箱の組み立てなどを行っていますが、パプリカの皮むきから瓶詰、ラベル張りまでが作業所の中で行われるマッサの製造は、利用者さんにとってもやりがいを感じられるものとなりました。青森県産パプリカだけを原料にした「パプティーMassa(マッサ)」はカフェグリーンブリーズで販売されています。

 

このほか、実行委員の一人であるレストラン「ビストロらあく」の西野竜介シェフが「西洋料理には欠かせないベルギーエシャロットはほぼ輸入に頼っている。七戸町の新たな特産品として導入できないものか。」と提案し、「ベルギーエシャロット」を七戸町の特産品として生産する取り組みも行われています。

ベルギーエシャロット

 

ベルギーエシャロットとは、西洋料理のソースや中華料理の炒め物など、様々な用途に使われる玉ねぎに似た食材です。現在、青森県営農大学校の協力を得て試験栽培が行われており、収量比較や適切な乾燥の方法などデータの蓄積が進められています。2016年からは七戸町内の若手農家が栽培を始め、収穫したエシャロットを西野さんが県内外のレストランへ配布しており、特産品化に向けて着実な取り組みが進められているものの一つです。

収穫したエシャロットの試食会にて説明を行う西野シェフ

「楽しさ」が人をひきつける町へ

 実行委員会副代表の哘さんは、Uターン者である自身の経験から「子どもの頃に地元で楽しい体験をしたという記憶は、いつか地元に戻りたいという気持ちにつながり、Uターンのきっかけになる」と語ってくれました。児童館でボディパーカッションを練習し、秋祭り仮装パレードで披露するという取り組みや、お化け屋敷を企画するなど、実際に町内外の人々から好評を得ています。

お化け屋敷のポスター。

 

七戸町は人口約16,000人、高齢化率37%の比較的小さな町であり、少子高齢化という大きな課題を抱えています。

 

「小さな町というのは一見すると短所のようにも思えるけれど、裏を返せば小さな規模で何でもできるということ」と実行委員会の皆さんは熱く語ります。工藤さんや西野さんのように、町の資源を活用してチャレンジしたいという気持ちで声を挙げれば、「ドラキュラ」にいる誰かが「それならできるよ!」と言ってくれます。今やドラキュラは、参加する多くの人たちの自己実現の場となっているのです。

 

今後も、「自己実現のまち」=「願いかなう町」七戸を体現するドラキュラの活動から目が離せません。ぜひ一度、魅力的なヒト・モノ・コトが繋がる七戸町を訪れてみませんか?

 

上北地域寺子屋【上北地域存在感UPプロジェクト】

(田中 宣子)


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