【連載】花田先生のあおもり版画散歩 8
津軽にも桜前線がそろそろ届くかというこの時期、花田先生は「ここぞ!」という桜の名所を描いた作品をお送りくださいました。津軽もようやく、春ですね。
「弘前公園の桜」(木版画43.0×60.0cm) 日本板画院委員 花田陽悟
ここの桜もまた津軽人が誇りとする存在の一つです。思い出すのは、子供の頃に「観桜会」とは知らず「カンゴカイ」と聞き覚えていたこと、そして酔っ払い人が多かったことです。時移り、お花見の様子も変わりましたが、大地にどっしりと根を張った老木たちは毎年、満身に美しい花を咲かせております。
<花田陽悟プロフィール>
日本板画院委員。青森市生まれ。一時期同居していた叔父で洋画家の花田忠吾(1917〜2010年)の影響で幼いころから絵画に親しみ、制作風景を見るのが好きで、絵の具のにおいが好きで、何より絵を描くことが好きだった。
仕事としては青森県の教職員として県立木造高等学校長、県立青森高等学校長等を務め、青森市教育長、青森市助役など要職を歴任。一方、国体のハードル選手として長く青森県記録を保持していた。
40代から版画制作を始め、1988年に日本板画院に初出品、初入選。その後、ニュートン賞や青森県展特選などを受賞。2009年県立郷土館で、2019年には常盤ふるさと資料館あすか(藤崎町)にて花田陽悟展など作品展を開催。青森県の自然を題材にした透明感のある美しい色調の作品が多く、穏やかで温かい人柄そのものの作風が多くの人に愛されている。