【連載】花田先生のあおもり版画散歩 2
「津軽の秋」(木版画 27.0cm x 40.0cm) 花田陽悟・制作
太宰治は小説「津軽」の文中で、葛西善蔵(弘前市出身、小説家)が後輩に対して「うぬぼれちゃいけないぜ、岩木山が素晴らしく見えるのは、岩木山の周囲に高い山がないからだ。、、、、」と戒めたことを引用し、津軽人の気質を論じておりますが、なんと言われようと岩木山は津軽の人々にとっては自慢の山であり、信仰の山でもあって、なくてはならない山と言えるでしょう。
作品は、つがる市稲垣からの眺めですが、津軽の四季の眺めは、それぞれの季に装いを新たにした岩木山をバックに巡って参ります。
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<花田陽悟プロフィール>
青森市生まれ。一時期同居していた叔父で洋画家の花田忠吾(1917~2010年)の影響で幼いころから絵画に親しみ、制作風景を見るのが好きで、絵の具のにおいが好きで、何より絵を描くことが好きだった。
仕事としては青森県の教職員として県立木造高等学校長、県立青森高等学校長等を務め、青森市教育長、青森市助役など要職を歴任。一方、国体のハードル選手として長く青森県記録を保持していた。
40代から版画制作を始め、1988年に日本板画院に初出品、初入選。その後、ニュートン賞や青森県展特選などを受賞。2009年県立郷土館で、2019年には常盤ふるさと資料館あすか(藤崎町)にて花田陽悟展など作品展を開催。青森県の自然を題材にした透明感のある美しい色調の作品が多く、穏やかで温かい人柄そのものの作風が多くの人に愛されている。