私の好きなあおもり

【連載】花田先生のあおもり版画散歩 3

 
青森では紅葉が見頃となっている11月、版画家・花田陽悟先生(青森市在住、93歳)から、色鮮やかな紅葉とは趣の違う森の風景が届きました。
 

「秋深し」(木版画 55.0cm×40.0cm)

 

奥入瀬渓流沿いのブナ林です。緑の季節には癒しの散策路としても多くの人々を迎え入れてくれましたが、今は間も無く訪れる厳しい白の季節を生き抜くため、最後の衣装替え中といったところです。
木々の逞しい生命力と共に祭りの後のような静けさ、寂しさが感じられる季節でもあります。ちなみに今年は、どんぐり、ブナの実などが凶作となったため、本県でも餌を求めてまちへ出没するクマが倍増し、当局がその対策に苦慮しております。

 

自画像版画

<花田陽悟プロフィール>
青森市生まれ。一時期同居していた叔父で洋画家の花田忠吾(1917〜2010年)の影響で幼いころから絵画に親しみ、制作風景を見るのが好きで、絵の具のにおいが好きで、何より絵を描くことが好きだった。
仕事としては青森県の教職員として県立木造高等学校長、県立青森高等学校長等を務め、青森市教育長、青森市助役など要職を歴任。一方、国体のハードル選手として長く青森県記録を保持していた。
40代から版画制作を始め、1988年に日本板画院に初出品、初入選。その後、ニュートン賞や青森県展特選などを受賞。2009年県立郷土館で、2019年には常盤ふるさと資料館あすか(藤崎町)にて花田陽悟展など作品展を開催。青森県の自然を題材にした透明感のある美しい色調の作品が多く、穏やかで温かい人柄そのものの作風が多くの人に愛されている。

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