【あおもりびと発見!】ウマジンで世界を平和に
イラストレーター 安斉研究所代表 安斉 将(あんざい まさる)さん
2014年にグッドデザイン賞を受賞したウマジン。ウマジンとは、段ボールで作られた馬頭状の被り物のことで、駒とアートの融合体のこと。そのデザインを担当したイラストレーター・安斉研究所代表の安斉将さん(神奈川県横浜市出身・十和田市在住)にお話を伺いました。
アートの街に突如現れたウマジン
駒の街・アートの街十和田市。馬のオブジェが多く点在する小さな街で、ウマジンを頭からかぶり、街を歩いている人たちがいるのをご存知でしょうか。ウマジン誕生のきっかけは、地域を盛り上げようと十和田青年会議所のメンバーから安斉さんが依頼を受けた際のこと。”楽しさ・シンプルさ・南部駒踊り”をヒントに、試作に試作を重ね、生まれたアイディアがウマジンでした。
発案した当初は伝統芸能である南部駒踊りをいじるのはどうなのか等の反対意見もありましたが、いざウマジンをかぶり、飲み屋街へ出掛けると、思いの外に好感触。その後、十和田市内の飲食店13店舗でウマジンを設置していただき、お客さんがその写真をSNSに掲載するようになるなど、瞬く間に話題になりました。
十和田市に馴染ませてくれた存在
そのウマジンのデザインを担当した安斉さんは横浜生まれの横浜育ち。長年東京で、イラストレーターとして活動していました。しかし、インターネット環境の整備に伴い、東京に住んでいなくともイラストレーターの仕事ができるようになり、いずれは東京を出たいと思う気持ちが心に生まれていました。
そんなとき、奥さんの地元・十和田市でアートによる街づくりが始まったことを知ります。まったく知らない土地よりも、奥さんの故郷としてなじみある十和田でアート活動ができれば面白いのではないか、と考えたことが移住への決め手となりました。
「イラストレーターの仕事は孤独な仕事で人と関わることが少なかった。」という安斉さんですが、ウマジンは十和田に馴染ませてくれた存在でもあるといいます。
実際にも移住したばかりのころは、「横浜から来たイラストレーターの安斉さん」と紹介されることが多かったが、最近は「ウマジンの安斉さん」と呼ばれるようになったといいます。
また、ウマジンをかぶり、街中を歩いていても、”変な人”という扱いではなく、「お疲れさまです」と労いの言葉を市民の方からかけられるようにもなりました。
「ウマジンがなければ、ここまで深い関係を築くことがなかったのではないか。ウマジンを被ったときの恥ずかしさは高揚感と連帯感を生み、肩書や言語の壁を越え、全ての人が平等にまわりと仲良くなることができる。いわば、ウマジンは世界を平和にする一種のコミュニケーションツールとなっている。」と安斉さんは熱く語ります。
ウマジンで世界を平和に
そんなウマジンの輪は十和田市に留まることなく、各地に広がりを見せています。
県内においては、白鳥の飛来地である平内町ではトリジン、大鰐町ではワニジン、そしてイカが名産の八戸市白銀町ではイカジンと多様な○○ジンの輪が広がっています。そのような活動を通し、地域をつなぐという活動ができていると実感するようです。
安斉さんの今後の目標は、ウマジンで世界を平和にすること。十和田といえば馬。馬は産業革命以前の乗り物であり世界中どこへ行っても繋がっていけるのでは、といいます。そんな平和へ想いを胸に、今日もウマジンは歩いていきます。
【問い合わせ先】
安斉研究所
E-mail: anzaimasaru@gmail.com
URL:http://facebook.com/anzailab
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(岩城 舞)