【あおもりびと発見!】野辺地駅前で126年 松浦食堂 惜しまれて閉店
物流の拠点、野辺地駅の開業から126年にわたり、行き交う人々を見守り続け、多くの旅人に親しまれた「松浦食堂」が2017年4月28日、その歴史に幕を下ろしました。営業最終日には、閉店を知った多くの常連客が訪れ、昼ごろには営業終了に。しかしその後も多くの方が、花束を持って労いに訪れていました。
松浦食堂は1891年、明治24年9月1日、上野~青森駅間が全通した野辺地駅開業のその日に、現在地に開店。津軽と南部、そして下北の交通・物流の結節点としてにぎわった野辺地駅前の顔として、長年多くの行商人や旅人に一時の癒しを与えてきました。
そして三代目の奥さん・松浦リツさんが地元の特産カワラケツメイを使う郷土料理「茶粥(がゆ)定食」を発案し、好評を博してきました。しかし新幹線の八戸開業以来、駅の乗降客も減り、夫婦ともに80歳を超え、体力的にも続けるのが厳しくなってきたと言います。
「そろそろ閉店か…と考えていたのが昨年秋ごろ。でも東京のイベントにも呼んでもらって、また懐かしがって来てくれるお客さんも増えて、もう少し頑張ってみようと今までやってきた。でも、どこかで踏ん切りを付けなきゃならない。5月の大型連休明けまで、とも考えたけれど、また辞め時を逃してしまう。ここで終わろう、と決めました」
松浦食堂が閉店してしまうと、カワラケツメイ茶の茶粥をメニューとして日常的に提供する食堂は、旅館等を除くとなくなってしまいます。このまま廃れてしまうのか… 「しかしご安心を」とリツさん。
「平時は営業していなくても、2名以上であれば予約制でカワラケツメイの茶粥定食(1550円)を提供します。また、いったん落ち着いてから、6月ごろからでも、郷土料理の伝承を目的にした講習会を開いていこうと思っています。食堂は閉めても、郷土料理の後継者は育てていきたいんです」。
いつもの元気な笑顔で語ってくれたリツさん。これからも野辺地の顔として、頑張っていただきたいですね。
松浦食堂(茶粥定食の予約のみ)
住所:〒039-3154 青森県上北郡野辺地町上小中野39−7
電話: 0175-64-3004
(編集部S)