「青森不足の人」の心とお腹をいっぱいに

首都圏等で活動する「あおもり~な」(青森思いの県人等)を紹介します
2018.3.28更新

「青森不足の人」の心とお腹をいっぱいに

あおもり〜な 016 茂木真奈美 (もぎ・まなみ)さん
  • 40
  • 青森県十和田市
  • 東京都
  • 女将
あおもり〜な 016 小池政晴 (こいけ・まさはる)さん
  • 40
  • 神奈川県横浜市
  • 神奈川県
  • 店長

新宿荒木町「りんごの花」の扉を開けると、、、そこは青森!?

「ミッションは、ずばり、青森活性化!青森の食材を一大消費地である東京で消費、宣伝し、店内では、観光スポットなども紹介します!!」。そんな元気なうたい文句を“体現”する青森PR居酒屋「りんごの花」は、扉を開けた途端、金魚ねぷた、ねぶた祭やねぷた祭のポスターが目に飛び込み、モニターでは青森のテレビCM(しかも古い)が流れていて、「ここは青森か!?」と錯覚してしまうほど。新宿荒木町にあって青森色満載の居酒屋を切り盛りするのは、女将の茂木真奈美さん(十和田市出身)と、店長の小池政晴さん(横浜市出身)。2018年1月に開店から7周年を迎え、ますます青森PRに余念がない。

 

たびたび聞かれた「青森って、何があるの?」

茂木さんは、十和田市の三本木高校を卒業後、「食品関係の仕事がしたいのと、青森を出たかった(笑)」という理由で静岡へ。県立大学で食品関連の知識を得て、管理栄養士の資格も取得した。神奈川県内の複数の企業に勤め、コンビニやスーパーの総菜開発、品質管理、惣菜店の立ち上げなどを経験。商品開発に関連して全国各地に出張した際、地元食材の話をする中で出身地を告げると、「青森って、何があるの?」と、たびたび聞かれた。

「ホタテや長いも、ニンニク、ゴボウなど、青森産で全国トップクラスの食材はたくさんあるのに、知られていないんだ。もったいないなぁ」。そう思って、首都圏に対する九州や四国など西の地方からの売り込みや出回っている商品のボリュームをみると、確かに青森県産品は少なかった。
30代になって会社勤めを続けるか考えるようになり、女性企業塾を1日体験したところ、自分の中のキーワードが「食と青森」だと気付いた。青森の食材、青森そのものを広く知ってもう方法として、起業塾の講師が勧めていたblogを、青森をキーワードにして書き始めた。

 

新青森駅開業を機に、東京から青森を盛り上げる!

茂木さんと同じ職場で飲み仲間だった小池さんは、営業担当として全国の業者とつきあいがあり、青森県にも毎月1回訪れていた。回数を重ねるほどに、青森県内は魚、肉、野菜など食材が豊富なことを知った。「みんな情が深くて、熱く、優しい」と県民性にもひかれるものが多かった。
自身の中で「青森」のキーワードが高まった茂木さんと小池さんは、2010年12月の東北新幹線新青森駅開業に合わせて青森を盛り上げようと、11年1月6日に青森PR居酒屋をオープンした。青森県の花である「りんごの花」を店名に決め、茂木さんがフロアを担当、小池さんが厨房で包丁を握る体制。茂木さんが続けていたblogを中心にfacebook、twitterなどのSNSで情報発信していたことで、30席ほどの店を訪れる人は多く、出足は順調だった。

それから約2ヶ月後の3月11日、東日本大震災が起きた。幸い店に被害はなかったため営業し、帰宅困難の人を受け入れて喜ばれた。しかしその後、歓送迎会の予約はすべてキャンセルに。東北道が一部不通になった影響で青森からの食材提供が滞ったこともあり、しばらく売り上げが低迷した。「支払いで胃が痛かったこともある」と茂木さん。ご近所を回ってチラシをポスティングしたり、日中のお店を活用しようとランチ営業をしたり、ネットの検索上位をめざしてblogを1日3回書いた時期もあった。「余分なお金はかけず、自分たちでできることは何でもやった」(小池さん)という努力が実り、少しずつ経営は上向いた。

 

青森バージョン「恋チュン」動画は、再生回数が12万回越え

「お客様に喜んでもらうことが第一」(小池さん)という姿勢は一貫している。誕生日やお祝い事があるお客様には、名前と「おめでとう」の文字を野菜で刻んだスペシャルプレートをサプライズで提供する。青森県内のすべての高校のメモ帳を用意したところ、その文面を通してつながりが広がったという声も多く届いている。

AKB48「恋するフォーチュンクッキー」のご当地バージョンが流行った時には、「青森バージョンがないのは淋しい!」と小池店長が一念発起。青森県内各地の知りあいに動画撮影をお願いしたところ、約50件の動画が集まった。店の仕事が終わった後、慣れない動画編集に四苦八苦して完成した青森バージョンは再生回数12万回を超える大ヒットとなった。

いつの頃からか厨房に面するカウンターは「小池アリーナ」と呼ばれるようになり、仕事の手が空いた小池さんとのトークを楽しむ「一人飲み」の常連客も多い。「上京間もなく、“青森シック”になって来てくれる方も多いです。終電までの短い時間に立ち寄り、『ここで青森の空気に触れることでリフレッシュできる』と言ってもらえると嬉しいですね」

 

太宰治に由来する「筋子納豆ご飯」が大ブレーク

ここ数年でお店の代名詞ともなった看板メニューがある。「筋子納豆ご飯」だ。その名の通り、ご飯に丸納豆、ほぐした赤い筋子がキラメく一品は、弘前市のかだれ横丁で飲んでいた時にアイデアを思いついた。「弘前の街おこしに一生懸命で、行くと必ず会っていた宮川克己さんから、太宰が納豆を筋子で食べるのが好きだったと聞き、翌朝、ホテルのバイキングで試してみました。『これは、イケる!』と直感し、お店で出してみるとお客様の反応も上々だったので、筋子納豆の歌も作っちゃいました」と笑う小池さん。自身が会長を務める日本筋子納豆協会は全国にファンがおり、会員も間もなく千人に届くまでに拡大している。

野菜、魚、肉などの食材は9割以上が県産品で、地酒も県内から取り寄せていおり、年間1000万円は県内に還元している。「こぎん刺しワークショップも開催しており、いろいろなお客様に来ていただけて、毎日が楽しい。実はお客様の7割は青森県人ではない方なので、これからもますます青森の美味しいものを知ってもらえるようPRしていきます」と茂木さん。「ねぶたなどの夏祭りや下北の鮟鱇祭に合わせてお客様をご案内するツアーを行っていますが、もっと多くの人が実際に青森に出掛けてくれるような仕掛けも考えたい」と、小池さん。8年目を迎え、テレビ番組や雑誌などで取り上げられることも増えたりんごの花。これからも目が離せません。

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