新宿のビジネスマンに、美味い魚を提供

首都圏等で活動する「あおもり~な」(青森思いの県人等)を紹介します
2016.12.4更新

新宿のビジネスマンに、美味い魚を提供

あおもり〜な 015 戸田 英明 (とだ ひであき)さん
  • 40代
  • 八戸市出身、光星学院高(現・八戸学院光星高等学校)卒
  • 東京都
  • 居酒屋経営

懐に優しい値段でビジネスマンを癒す

人波激しく、高層ビルが建ち並ぶ新宿駅西口エリア。西新宿駅から徒歩1分にあるビルの奥へ続く細い通路から、「本マグロ中落ち 350円」の看板に誘われて地下へ。懐かしい昭和テイスト漂うポスターに見守られながら階段を降りると、こじんまりとした隠れ居酒屋「戸田商店」にたどり着く。

カキ焼き、ギンダラ刺し身、タコ刺といった海鮮系から、さきいか天ぷら、ウインナー炒めなど、壁を埋める品書きのほとんどが「350円」。6年前の開店当初から変わらぬ値段で提供を続けている。「仕事帰りのビジネスマンたちに懐の負担少なく、ゆっくりしてもらいたいから」。25席の店内を一人で切り盛りする戸田英明さんは、静かな口調で語る。

調理の仕事に就きたかった戸田さんは、高校卒業後に上京。浅草のどじょう屋、渋谷の焼鳥屋、赤坂の割烹、新宿でラーメン屋台、弁当屋…。人の縁が次の職場につながり、振り返ればかなり多様な現場で腕を鍛えてきた。苦労はしたが、調理場に立てることが嬉しい。6年前、インドカレーの専門店「ターリー屋」のバーだった店を、自分の店として営業できることになった時、看板となる素材には自身が大好きな「魚」を選んだ。

根っからの釣り好き、釣果を品書きに

八戸市の鮫で漁師をしている親戚から、八戸前沖鯖やアイナメ、イカなどがしょっちゅう届き、その度にさばいて食べた。小さい頃から釣りが好きで、友達と片道40分以上も自転車をこいで鮫の岸壁に行っては釣り糸を垂れ、母親から「あまり釣ってくるな」と言われる事もあった。夏休みに親戚の家へ泊まると、早朝、漁船が戻ってきたことを知らせる漁港の放送で目が覚めるのが楽しかった。

その釣り好きの体質は、今も染みついている。定休日の土日には相模湖上流の川でルアーを操り、ニジマスやヤマメを狙う。針を食ったニジマスが、ジャンプして針を外そうとする時の引きの強さがたまらない。時には友人と海に船を出し、鯛やイサキなどの大物を釣り上げる。週はじめの品書きに、「ヤマメの塩焼き」など釣果が並ぶことも多い。

 

実家は気になるけど、まだ帰れない

実家に帰るのは年に1、2回。会社勤めしていた父親が10年ほど闘病した間、長男として家を守るために何度か帰ろうかと考えた事はある。でも、世の中の景気を顕著に反映し、維持し続けることが難しい飲食店を何とか続け、常連客も増えてきた。この店を少しでも大きくしていくことが、これまで仕事を与えてくれた人への恩返しだと思うと、まだ東京を離れるわけにはいかない。

朝、築地市場で魚を仕入れ、夕方5時の開店に向けて準備する。仕事帰りのビジネスマンたちは、軽く飲んで食べて“下地”を作って次の席に向かったり、魚系のつまみを焼酎とともにじっくり味わったり。

店が入るビルの前で、新たな高層ビルの建築が進んでいる。「今年は去年よりも売り上げが良い。建設中のビルが完成すれば、人の流れや量がぐっと増えるはず。これからは、もっといい魚も仕入れて料理の質を高め、お客様により喜んでもらいたい」。自分が好きな魚たちを、一人でも多くのお客様に食べてもらえるよう、今日も夕方5時にのれんを開ける。

 
dsc_7310

◆次回のご登場は…
「青森県産米をメインで扱う米屋を都内で始めた十和田市出身の沢目さんです」(戸田さん)

編集後記:口調は静か。でも、釣り&魚への思いは熱く!

物静かで、淡々とした方でした。釣りの話になると口調が熱を帯びるのだけど、声を張り上げる事もなく、間もなく平静を取り戻す。でも、小さな頃の夏休みの思い出を語る姿は楽しそうで、本当に釣りが好きな様子が伺えました。

浮き沈みが激しく、3年、5年と続けるのは至難の技とも言われる都内の飲食店。ビジネスマンの懐と気持ちに寄り添い、ワンコインでお釣りが来るつまみを揃え続ける戸田さんの営業努力は素晴らしいと思います。ますますのご繁盛を!(編集・小畑)

本文ここまで
ページトップへ