青森郷土料理bar「らせら」

首都圏等で活動する「あおもり~な」(青森思いの県人等)を紹介します
2015.1.28更新

青森郷土料理bar「らせら」

あおもり〜な 002 棟方ひとえ (むなかた・ひとえ)さん
  • 20代
  • 青森県鶴田町出身
  • 東京都在住
  • 店舗経営
あおもり〜な 002 浜谷孝幸 (はまや・たかゆき)さん
  • 40代
  • 青森県青森市出身
  • 東京都在住
  • 料理人

青森のあったかさを、渋谷で伝えたい

ジャンバーに長靴姿の父さんや母さんたちが、子供や孫を出迎える新青森駅。交わされる笑顔、耳に届く懐かしい訛りに、「やっぱり、この青森のあったかさを伝えたい 」。そう思った棟方ひとえさんは、渋谷に開く自分のお店で青森を応援することを決めた。

高校卒業後、美容師を目指して仙台に住んだものの、バイトする飲食店でお客様から聞く東京の様子に興味が湧いた。初めて遊びに出かけた東京は刺激的で楽しくて、何でもできそうな気がした。「住みたくなって、不動産屋に勤める友達に相談して、物件も見ずイキオイで部屋を決めちゃったんです(笑)。しかも、いざ引越してみたらアパートは八王子にあって、全然都会じゃない〜?!って(笑)」

なんたるチャカシ…。とはいえ、気持ちは都心にある。電車に片道1時間乗り、知り合いが紹介してくれた渋谷のBARで働いた。程なく、人をまとめる力や全体的な目配りが認められ、店長に。メンバーシフトを組んだり、仕入れや原価計算など現場で体験するうちに「自分の店を持ちたい」という思いが湧き上がった。

それから2年。2013年4月、流行の中心地、渋谷・道玄坂の一角に青森郷土料理bar「らせら」がオープンした。大きな金魚ねぶた、青森の祭りのポスターとともに和装の棟方さんが出迎える「らせら」は、青森びいきのお客様でにぎわっている。

青森の家庭の味、海の幸に 「んめぇの〜」の声

青森の漁師友達が送ってくれる西海岸や陸奥湾の新鮮な魚たちは、はまさんの包丁で美味しいお刺し身になってお客様を喜ばせている

青森の漁師友達が送ってくれる西海岸や陸奥湾の新鮮な魚たちは、はまさんの包丁で美味しいお刺し身になってお客様を喜ばせている

週に1〜2回、棟方さんの元には鶴田から小包が届く。入っているのは、おっかぁが作った季節の野菜やばっちゃの漬物、道の駅つるた「鶴の里あるじゃ」におっかぁの友達が出している加工品や、西海岸でとれた海産物。

「お客様が美味しいって言ってくださったよ」。棟方さんのその言葉で、ちょっと疲れ気味だったおっかぁは、張り切って野菜を作るようになったという。これもまた、親孝行のひとつのカタチだ。

でも、青森県産品の消費を増やすためには、自分一人の力では足りない~。そんな棟方さんの思いを後押しする強力な助っ人が、昨年夏、「らせら」に加わった。料理人「はまさん」こと、浜谷孝幸さん。青森の会社で営業担当だった頃、仕事が丁寧で何を頼んでも美味しいお店に出会った。「自分も、美味しいものを提供して誰かを喜ばせたい 」と思うようになり、その店の親方に相談すると、脱サラした経験を話して「うちに来い」と受け入れてくれた。

「らせら1周年のお祝いに」と、昨年、お客様からいただいた黒毛和牛は、お客様に振る舞って喜ばれた

「らせら1周年のお祝いに」と、昨年、お客様からいただいた黒毛和牛は、お客様に振る舞って喜ばれた

30歳目前のはまさんを親方は早く一人前にしようと、手早く丁寧な仕事ぶりを見せながら現場で鍛えた。3年ほど修業して「他の店も見たい」と思ったはまさんは、つてをたどって銀座の懐石料理店へ。ミリ単位の誤差も許されない彩り良いお料理を作る一方、週末は渋谷の和食カフェで“おふくろの味”を作った。

仕事上がりにたまたま立ち寄った店が「らせら」。同じ青森出身者と知り、あれこれ話すうちに棟方さんから「うちで料理を作りませんか」とお誘いが。他からの声もあったが、「“渋谷で青森”のコンセプトが面白い。やってみるがな」

はまさんが来て、らせらのメニューには西海岸や陸奥湾の漁師友達が釣った青森の新鮮な魚の刺し身、金木の馬刺しなどが加わり、料理の幅もぐっと広がった。県出身のお客様からいただく「んめぇの〜」の声が増えた。

県内ツアーに県出身者の飲兵衛会
青森を“肴”に、つながろう

青森の人は人柄が良く、献身的な人が多いと思う。でも津軽の人は商売に消極的で、「自分はいいから」って一歩引いたり、「 ○○下手 」と呼ばれることが多いかも。でも、私もそうだ。せっかくお店を持つんだから、その殻を破って、ひとつの成功例になれるように頑張ろう。

そう考えた棟方さんは、2013年4月の「らせら」開店前後に、都内の青森関連のお店へ積極的に挨拶に回った。四谷三丁目の青森PR居酒屋「りんごの花」(女将が十和田市出身)さんは、「応援するよ!」と快くエールを送ってくれたり、偶然お店を訪れたねぷた絵師の方が「描いてあげるよ」と美人画のねぷた絵を送ってくれたり。「みなさんワゲモノが頑張っていると応援してくれるんです。ありがたいです」と棟方さん。

 

そんな青森県人や青森のいいところをもっとたくさんの人に知ってもらいたくて、仲良くなったあがせガール、「りんごの花」と一緒に去年夏、青森ツアーを企画した。

のっけ丼を食べ、田んぼアートや弘前のかだれ横丁などを訪れた首都圏からの参加者は、写真を撮って、食べて、買って…と大喜び。Facebookのタイムラインも反響が大きく、「青森ネタって、ウケる!」と実感。今年の夏も、ツアーを企画する予定だ。

さらに、「県人が経営するお店で青森のものを飲んで食べながら、青森のことを話したい人がいるはず」と、Facebookに「青森出身飲兵衛会」ページを開設。案の定、メンバーは続々と集まり、220人以上に。11回目の飲み会を2月に開く。

1月24日にらせらで開いた「けの汁会」は、はまさんが大量に作ったけの汁が凄いスピードで減り、大いに盛り上がった。「首都圏で青森ファンを増やし、青森を感じられる場を持つのが、いまの自分の役割。はまさんの活躍で『料理がおいしい青森バー』として知ってもらえるイベントもたくさん企画したい」。ねぶたの掛け声「ラッセラー」をもじった名前で、青森を旗印に掲げる「らせら」。4月の2周年にむけて棟方さんとはまさんは、ますます張り切っている。

「次は、鶴田中学校の同級生で、ムエタイチャンピオンの一戸総太選手にお渡ししま~す」(棟方ひとえ)

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